会期:2015年12月13日(日)~12月20日(日) 13:00~20:00
オープニングレセプション:13日(日)18:00~
イベント:13日(日)18:00~笹山直規+釣崎清隆によるアーティストトーク
会場:素人の乱12号店(東京都杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F)
「IMPACT」プレスリリース
この度、高円寺にあります素人の乱12号店「ナオナカムラ」では、笹山直規+釣崎清隆展覧会「IMPACT」を開催いたします。
今展覧会では、ネット上に溢れる死体画像から美を追求し描きおこす死体画家の笹山直規と、世界の最前線で死体から美をきり撮る死体写真家の釣崎清隆の2人による女性の死体にフォーカスした作品を発表します。ヴィーナスともされる女性の肉体はエロスとタナトスに寄り添う究極の美の象徴であり、死体になりバラバラになろうとも美しい風景として存在します。
笹山直規は、1981年生まれ。2004年より事故現場をメインテーマに、2005年に死刑囚の最後の食事を描いたシリーズなど事故や死刑囚、死体といった生と死をテーマに自作の水彩絵具で絵画を制作しています。
釣崎清隆は、1966年生まれ。1994年よりタイやコロンビア、メキシコなど世界各国の犯罪現場や紛争地域でこれまでに1000体以上の死体を撮影するとともに、映像作家や文筆家としても活躍しています。
惨事が広がる危険な場において死体と対話する行為は現実と真摯に向き合う儀式であり、一方でそれらは美術の本質を追求し回帰することにもリンクします。根源である命の誕生とその終わりに対して強まるレギュレーションとタブー視される今の日本で、あえて「女性の死体」というモチーフで美術の本質を問いただすことは、本来必然的なことなのではないでしょうか。
笹山直規と釣崎清隆による待望の2人展をこの機会にどうぞご覧ください。
中村奈央
【作家ステートメント】
「女性の死体」をテーマに死体写真家、釣崎清隆氏との2人展をナオナカムラで開催致します。
世界の美術史に於いて、女性の肉体は美の極地とされてきました。
ルネサンス期にはテンペラ画やフレスコ画よりも、さらに女性の肌の輝きを忠実に表現するために油彩絵具が開発されました。
女性の肉体(裸体)が至極のモティーフとして、今日まで様々な絵画、彫刻、建築物などに登場しています。
私はインターネット上に氾濫する死体画像を蒐集し、絵を描いています。交通事故の現場で女性の肉体は、まるで人形のように関節が逆に曲がり、日常を超越した不可思議な格好をしています。
絵画(アート)とは言い換えれば「ポーズ(構図)」の歴史であると私は解釈していますが、事故で偶然生まれた死のポージングに、今日的な新しい美の可能性を見出しました。
釣崎氏は、己の身の危険も顧みず世界中の犯罪現場、紛争地域などに出向き、芸術のために孤軍奮闘している稀有なアーティストです。
目も当てれぬ凄惨な現場から美を抽出するスタンスは、私自身の指針ともなっております。
そんな極北の表現を追求する両者の作品を通じて「芸術とはなにか?美とはなにか?」を問いなおす機会になればと考えております。
笹山直規