キュンチョメ個展「ここではないどこか」

キュンチョメ個展「ここではないどこか」

期:2013年11月20日(水)~11月24日(日) 13:00~22:00 25日(月)17:00まで会期延長
オープニングレセプション:20日(水)18:00~
会場:素人の乱12号店(東京都杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F)
作家WEBサイト:キュンチョメ



この度、高円寺にあります素人の乱12号店「ナオ ナカムラ」では、昨年に続き2回目となりますキュンチョメ個展「ここではないどこか」を開催いたします。

キュンチョメは、2009年に結成した2人組ユニットです。メメント・モリをテーマに掲げ、この世界を独自の視点でインプットして「見える世界」と「見えない世界」を繋ぐアウトプットを作品にしてきました。また、それらを花輪、花畑、芳名帳、ガシャポン、ピンクのウサギなどインパクトの強いモチーフに落とし込み、現在第二次審査を控えている「第17回 岡本太郎 現代芸術賞」(2013/岡本太郎記念館)入選など、他にもさまざまな賞の受賞や展覧会に参加し続けている今後も目が離せない注目すべき作家です。

「ここではないどこか」で起きている出来事に対してキュンチョメはその瞬間を切り取り、見えにくい世界をあぶり出します。そして、どうにもならない事をどうにかしたいという、居ても立っても居られない衝動や欲望をエネルギーに、“あの日(=東日本大震災)”の残した爪痕に正面から向き合ってきました。「ここにいた誰か」(2013)では、あの日から時間が止まったままの自動車から指紋を採取し、生きようとした証を残します。「遠い世界を呼んでいるようだ」(2013)では、あの日遠い世界へ飲み込まれてしまった人たちに呼びかけるかのようにする遠吠えは、いつか聞いた警報のようにいつまでも響き渡ります。

本展覧会では、未発表の新作をはじめ映像作品やインスタレーション作品で構成します会場に足を踏み入れると物語ははじまり、そして「ここではないどこか」へと変わってしまった瞬間である“あの日”を軸に、キュンチョメが鑑賞者である私たちを「ここではないどこか」へと連れ出す仕掛けを試みます。
待望の2回目となるキュンチョメの個展をこの機会にどうぞご覧ください。


皆が募金をはじめた頃
僕たちはタイムカプセルを埋めに行った。

皆が忘れ始めた頃
僕たちは指紋を集めはじめた。
「震災ネタってうざいよね」と酔った友達が言った。
翌日、僕たちは再びあの場所へ向かった。
ここではないどこかへ。



2013年12月25日神奈川新聞掲載(共同通信社より)