これまで東京都をメインに活動してきた常磐出身の両作家が”この地の空と狂気とウソ”をテーマに、毒山の故郷である福島 県で初めて開催する展覧会です。
また、2012年よりスタートしたナオナカムラにとっても福島県で今展を開催することは初めての試みとなります。
毒山凡太朗、キュンチョメによる展覧会「今日も きこえる」をこの機会にどうぞご覧ください。
展覧会名: 毒山凡太朗+キュンチョメ展覧会「今日も きこえる」
会期: 2015年9月18日(金)~9月22日(火)
会場: 福島県いわき市 ワタナベ時計店 3F 「ナオ ナカムラ」
福島県いわき市平字二丁目33-1
開場時間: 10:00~19:00(会期中無休)
入場料: 無料
作家: 毒山凡太朗、キュンチョメ
お問い合せ: nakamuranao19900715@gmail.com 080‐4347‐1887(展覧会担当:中村奈央)
ウェブサイト: http://naonakamura.blogspot.jp/
「今日も きこえる」展プレスリリース
この度、福島県いわき市のワタナベ時計店3Fにあります「ナオナカムラ」では 、毒山凡太朗、キュンチョメによる展覧会「今日も きこえる」を開催いたします。
福島県出身の毒山凡太朗と茨城県出身のキュンチョメ、常磐出身の両作家 がリサーチを重ねて作り上げた本展は”この地の空と狂気とウソ”がテーマとなっています。
あの日から約5年の月日が流れました。未だ多くの街がバリケードで塞がれ、 海はコンクリートで埋めたてられ、この地、いわきでは水平線すらまともに見るこ とができなくなりました。そんな中作家たちは、何にも束縛されることのない福島の空と、この空を愛した女性、高村智恵子に注目していきます。智恵子は福 島県に生まれ育った画家ですが、晩年は精神が薄弱して狂人とみなされていきます。それでもなお彼女が最も愛したものは、故郷の福島の空でした。夫である高村光太郎が綴った詩に“智恵子はα次元”と記されているように、彼女は 全く別次元の存在へと自分自身を落とし込み、周りが騒ぎ立てる音を一切遮 断して福島の空のみを愛し続けます。
今日、わたしたちはどんなに遮断しても様々な雑音を受動的に耳にしてしまいます。けれども、きこえてしまうがゆえに出来てしまうものがあります。それは智恵子が語った本当の空のような絵空事にみえるかもしれません。「だけど、未来を語るにはウソにこそ意味がある。ウソだけが二度目の明日を作ることができる」と作家たちは言います。
有象無象の言葉があふれる福島の空の下、作家たちの思いに耳を澄ませていただければ幸いです。
毒山凡太朗、キュンチョメよる展覧会「今日も きこえる」をこの機会にどうぞご覧ください。
ディレクター 中村奈央
【作家ステートメント】
常に磐石なる地と書いて常磐。福島から茨城に渡るこの常磐という呼称は永久不滅という意味が込められている。今となっては悪い冗談みたいな名称だけれど、 5年前までは自分たちはとても安全な場所に住んでいると皆が本気で信じていたのだ。今や常磐道を北上し故郷に帰り着くたびに吐き気を覚える。土建ゴロが闊歩し、海はコンクリートで埋めたてられ、避難してきた県民とは生活ゴミの捨て方で揉めて、人々は酒のつまみに悪いうわさ話で盛り上がる。我が家の父は錯乱し家の窓も雨戸も一切開けず、外出するときは未だにマスクを手放さない。元気なのは犬と性風俗産業と放射能だけだ。なにが故郷だ。二度と戻らねえよ。かくして俺は故郷を捨てた。東京の街では福島出身だと言うだけで「大丈夫?」と声をかけられるけど、大丈夫なわけねーじゃねぇか、だから東京にいるんだよと、声を荒げたくなることもある。どこもかしこも、うっせーよ。
そんなどうしようもない故郷に帰る事にしたのは、一人の気の狂れた女に導かれたからだった。故郷の有名人、高村智恵子。福島の空だけが本当の空だと言い続けて精神が薄弱して死んでいったあわれな女。そんな智恵子の言葉が福島県安達太良山のてっぺんにかかげられている。「この上の空が本当の空です」 確かに、この空だけは5年前とも変わらないし、千年後だって変わらないだろう。 地上のクソみたいな出来事とは関係なく、ここにはほんとうに本当の空があるのかもしれない。
一番信じられない場所で、二度目の明日を見つけよう。
このどうしようもない故郷へ、愛を込めて。
毒山凡太朗+キュンチョメ
また、東京都高円寺の素人の乱12号店にあります「ナオナカムラ」では9月19日から23日まで、タタラ・タラ個展「悩める脳内パラダイス」を開催中です。ぜひこの機会にご高覧いただきますようお願い申し上げます。
「今日も きこえる」アーカイブ
【artscape 2015年11月01日号(artscapeレビュー)】毒山凡太朗+キュンチョメ展覧会「今日も きこえる」|福住廉
9月20日付 福島民報より
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9月21日付 いわき民報より
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9月22日付 福島民友より
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